新しい挑戦をいくつも乗り越えた。
安心な暮らしを守るインターホン。
業界初の機能が搭載された新型インターホン。「セキュリティ」に着目し、これまで進化のなかった商品に新しい価値を加えるに至った経緯や、開発の中で苦労したことなど、プロジェクトチームの4人が語ります。
下田 真路
株式会社LIVNEX
新規事業開発室長
株式会社ナスタ
執行役員/デジタル事業推進本部長/商品開発本部長補佐
2017年入社(キャリア)
前職:IT商社・ITメーカー
上田 悠介
株式会社LIVNEX
新規事業開発室 課長代理
2018年入社(キャリア)
前職:筆記具メーカー
及川 絵里
クリエイティブチーム 係長
2015年入社(新卒)
林 駿一
新規事業開発室 係長
2012年入社(新卒)
業界初の「24H防犯カメラ」と「宅配ボタン」を搭載。訪問者の有無に関わらず、24時間自宅前を録画。不在時はもちろん、在宅中も宅配に自動対応が可能。その上、スマホで来客対応OK。
なぜ今インターホンなのか、どうして開発に着手したか教えて下さい。
下田 実はナスタに来たときから、何でこの会社はインターホンを作れるのに作らないんだろうって思っていました。表札・インターホンとセットで門柱型になっているポストと宅配ボックス搭載の商品がナスタにあるのですが、インターホンだけ他社製品を採用していたのをみて、自社でセットにして売ればいいのにと、ずっと思っていたのがきっかけでした。
もう一つ、ナスタは樹脂成形の実績があるので、他社よりも安く良く作れるんですよね。基板さえあれば作れるので、自社で成形できるという強みを生かして、ITやデジタル商品を社内で全部製造するという、ナスタ初の試みでした。
「インターホンって押したことある?」
「最近押したっけ?押さないよね…」
という話をチームでしていて、そこから企画が始まり、マーケットリサーチを進めて、詳しく調べたところ、大手は2社しかいないことが分かったんです。
上田 毎年200万台も出荷されており市場規模としても大きく、またそのほとんどがリフォーム向けのため継続的な需要が望めます。
私たちは郵便受けや宅配ボックスのトップシェアメーカーでもあるので「インターホンを一番押すのって配達員さんだよね」という発想から、どう進化させたら一般使用者にも物流に携わる方にも喜んでもらえるかというのは、すごく議論を重ねました。
そこはどうやって見つけ出したんですか?
下田 何度も何度もチームで議論して、「24時間防犯カメラ」というところに行き着きました。
及川 最初、「コールセンターに繋がるのもいいね」とかもありました。これは違うね、これいいねを繰り返しましたね。
下田 色々思考を重ねて、最終的に“セキュリティ”っていうキーワードがあがりました。
しかし、セキュリティ市場は奥深いので、どこまで私たちが実現できるサービスなのか、商品化できる所まで落とし込んだ結果、「24時間防犯カメラ」に行き着きました。
上田 他社の製品と比較して、新規性があるか、魅力度が高いか、買ってみたいかというユーザー評価をしたところ、「24時間365日防犯カメラ」という機能をインターホンにつけたら、買いたいというユーザーの意見が明確に出てきたので、これならいける!と。
及川 いけるねって実際言った気がします(笑)
上田 チームの中でこれだ!というフィット感が生まれたのを実感しました。社内の意見でそっちに行けと言われたから行ったわけではなく、ユーザーの意見をくみ取り、求められていると納得感があったのはすごく覚えています。
デザインはどのようにして進めていったのですか?
及川 まずはラフスケッチを下田さんに見てもらって、そこからもっと部品に何を使うかとか開発担当の林さんと会話しながら詰めていきました。より良いデザインを目指して、アイデアを出し合いながら進めた結果、最終的にラフスケッチよりもかなり良いデザインができました。
林 3Dプリンターも初めて導入して、試行錯誤しましたね。試作を何回も作っては直し、削っては塗装してを繰り返していました。
及川 デザインを検討するスピードもだいぶ上がって、これはどうかなと思ったらすぐ3Dプリンターで作ってみて、いや違うとなってもう1回作って… ずっと林さんと3Dプリンターで試作をつくっていましたね。
このプロジェクトの山場を教えて下さい。
下田 山場は何度もありましたが、モノ作りはバトンリレーなので、前半はデザインと機構設計。ここが決まらないとスタートラインに立てないので、デザイナーの及川と開発の林が走ってがんばってくれていました。
その後、IT部門の担当者を交えて基板を作って、また開発で詳細設計をして、工場で金型をつくってと、ずっとチームでバトンを渡しながら山場を越えてきましたね。
林 ひとつ山場で覚えているのが、防水耐雨試験をクリアした後、金型に樹脂を流して成形していくんですが、試験用のインターホンに48時間雨に当てたら水が入ってきたんです…
下田 ナスタの耐雨試験は一般の耐雨試験より厳しくて、嵐のような状態で試験をするのでとても条件が厳しいんですよ。
林 防水性に強いはずのパッキンが原因だったのですが、協力業者の方もそんな原因は考えられないって(苦笑)
プロも考えられないような原因だったので、解明するのにとても苦労しましたが、試行錯誤してなんとか解決することができました!
上田 僕の山場はその後にあって、販売計画などの詳細を詰めるために社内の営業担当者だけでなくお客様のご意見もとことん聞いて回りました。ときには「明日商談でサンプルを使いたい」という支店に直接サンプルを届けにいったこともあります。営業やお客様の要望にはやっぱり応えたいですしね。
及川 私はお二人の前に山場があって…
ナスタ含めたLIVNEXグループのクリエイティブ統括である佐藤可士和さんに、インターホンもデザイン監修をいただいていたので、ラフデザインの段階から色々ご相談をしていました。当初何度も指摘をもらってしまって、納得させられるデザインを持っていけないことが悔しくて泣いてました(苦笑)
チームのみんなの協力を得て、何度も何度も改良を加えて、ようやく形にできたときは安心しました。
林 ボタンとボタンの間の線を細くしすぎると安定生産できない、線が細いとデザイン性が上がる…
苦労しましたね。でも、できないではなくて、テストしてみようと!どこまで細くできるのか!!
及川 結果、大分細くすることができましたね。
下田 自分たちの中では可能な限り線を細くしたデザインで可士和さんへのプレゼンに臨んだところ、さらに細くしたいねという指摘を受け悩んでいました。そんなとき笹川社長に呼ばれて、「限界まで細さを極めよう。チャレンジをするんだ。物作りはチャレンジ。」と。そこから突き詰めて突き詰めて0.01mm単位までこだわりました。
笹川社長がやらせてくれたというか、背中を押してくれた感じですか。
下田 そうですね。笹川さんがやろうって言ってくれなかったらここまで出来なかったと思います。
及川 私たちだけだったら、ここまで出来たら十分という所を、最後に笹川さんがもっといけるだろうと、信頼してチャレンジさせてくれました!
上田 この企画の成功体験があったから、こういうやり方をやろうというのがチームで広まりましたね。
業界初の新型インターホン、これからどうなってほしいですか。
及川 道を歩いていて、このインターホンが当たり前にお家の前についていたら、とても嬉しいです。ナスタのポストは道を歩いていて、「あ、ナスタのポスト!」ってなるんですよね。そういう世界になったら、感動しますね。
上田 今はありがたくも、アパートのポストや宅配ボックスにナスタの商品が数多く採用されているので、インターホンも頑張ります!
下田 カフェにいるとき、お客さんが「置き配にしといてください。」って言っている姿を見ると、実はナスタの商品使ってくれているのかなと連想させる生活。人の生活に馴染む、インターホンもそんな商品になってくれると嬉しいです。たとえば、インターホンが防犯カメラとして広まり、犯罪が減った。そういう世界を変えられるのがモノづくりの醍醐味ですよね。人の生活を変えたり良くしたいという想いで開発した商品なので、ナスタのインターホンが付くことで便利になったり、安心になればいいなと思っています。