累計18万台の売り上げ実績を誇るナスタのロングセラー商品「プチ宅」
ナスタの人気商品のひとつである「プチ宅」。累計18万台の売り上げ実績を記録しているロングセラー商品の企画から開発まで、すべてを担当した栗原がその舞台裏を語ります。
栗原 哲哉
株式会社ナスタ
商品開発
2003年入社(新卒)
ポストに入らない小型宅配物から500mlボトル24本相当の大型荷物まで対応。後付けできる仕様にも関わらず、メカ式プッシュボタンや防滴設計を採用しています。
「プチ宅」の開発に携わったきっかけを教えてください。
商品企画として、お客さまのところに行ったり、営業と同行したりする中で「アパートに設置できる宅配ボックスがほしい」という要望をハウスメーカーの方からいただいたのがきっかけでした。
従来の宅配ボックスはロッカータイプだったので大型で高価格。マンションにしか採用されていませんでした。
アパートだとスペースや価格の問題があり、大きなロッカータイプが付けられない。またセキュリティへの意識も高くなっていたこともあって、スルータイプ(エントランスの外側に投入口があり、オートロック扉を入った内側に取出口がある仕組み)の宅配ボックスをつくれないかという話になり、アパート向けの宅配ボックスを商品化していきました。
これをきっかけに宅配ボックスの需要はこれからも増加していくのではないかと感じ、ナスタの標準品として何か売り出せるものを考えるようになりました。
当時、集合ポストでいちばん売れていたのが「前入前出」という郵便物をポストの正面の投入口から入れて、正面の扉から取り出すタイプでした。それに取り付けられる宅配ボックスを開発したのが「プチ宅」の始まりでした。名前の通りコンパクトなサイズなので、マンションの入り口付近にあるポストの下のスペースに後付けできる仕様にし、リフォーム需要も考慮して開発を手がけました。
苦労した点や試行錯誤したことはありますか。
企画から設計までの工程すべてを行ったのは貴重な体験だったと思います。
通常は企画と設計で役割が分かれており、企画は次の商品、次の商品とどんどんアイデアを出していくことが求められ、開発は1つのテーマに集中し、それが終われば次の商品というプロジェクト型です。
でも今回はちょうど企画を立案したタイミングで開発に異動になったので、いままでの経験を生かし、自分の思い描いた企画を自ら開発へと引き継ぎプロダクトに落とし込みました。
中でもサイズは工夫しましたね。ポストの幅はある程度決まっていますが、高さは何を入れるのかによって変わります。小型化も目標の一つだったので、ポストとの連結や開閉のしやすさなども考えながら、慎重にサイズを検討しました。
とくにロッカータイプは、高さが180cm、幅が50cmくらいある商品で造りががっしりしていて大きかったので、その分どうしてもコストが高くなってしまう…以前担当していた集合ポストの経験を生かし、構造やアイデアをプチ宅にも反映することで小型化かつ価格を抑えることに成功しました。
商品開発する中で、どんなときにやりがいや楽しみを感じますか。
もともとモノをつくるのが好きなので、試作はとくに楽しいです。試しにやってみて、改善点を見つけてはもう1度やりなおして…。その繰り返しが好きですね。
あとは、やはり市場に出たときに予想以上に反響をいただけたことがうれしかったです。ちょうどネット通販が急速に増え、宅配ボックスの需要も右肩上がりにどんどん増加し、物流の問題が出てきたときに発売したので、タイミングもちょうど良かったんだと思います。
さらに電気工事が不要で手軽に設置が可能な点、後付けが簡単にできるためリフォームの際にも使える点も、多くの方から評価していただけました。
その結果、プチ宅はナスタの商品の中で初めて1つの品番で売上3億円を達成。売上がぐんぐん伸びていくのを見たときは、非常にうれしかったです。
月1回行われる社内の全体朝礼で「プチ宅がいま柱の一つになってきている」という話をしてもらったときは、胸にグッときました。
今後の目標や夢を教えてください。
ポストや宅配ボックスは、今後もLIVNEXグループの柱となる商品だと思います。シェアを拡大できるように製品開発を継続していきたいです。
集合住宅は縮小傾向にあるため、今後は戸建住宅が重要になってきます。リフォームしやすいもの、外観や内装のイメージと合いやすいものなど、便利で使いやすい商品をどんどん生み出していきたいです。
最近はデジタルに強い部署も設立され、スキルのある方々が入社しています。今までナスタがつくってきたポストなどのアナログなものたちと、デジタル技術を融合して、LIVNEXと一緒に次々に新しい製品を開発していきたいと思っています。